Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
津の国人
あらたまの年の三年を待ちわびて
ただ今宵こそにひまくらすれ
津の国兎原の山下に小さい家を作って住んでいた彼に、やっと宮仕えする便りが訪ずれた。僅かの給与ではあったが、畑づくりでやっとその日を過している男には、それが終生ののぞみであっただけに、すぐにも都にのぼりたかった。けれども衣服万端の調度にこと欠いている彼に、どうして道中のいりようを作っていいかさえ、見当の立たないものがあった。自家の畑物をみんな食べてしまっている哀れな夫婦に、手の尽しようのない貧乏が永い間くい込んでいた。
月のいい夜であった。一束の白い菜をかかえた夫は、簀の子のうえに白い菜を置いたが、筒井はそれがどうして手にはいったかを尋ねるには、あまりに解り切ったことだった。
「固く塩せよ。」
夫の顔は気色ばんで、少し昂奮しているようだった。
筒井は蔀をしめに立ち、男は誰かに弁解するようにいった。
「あまり月がいいものだからつい、……」
「ご尤もにございます。」
「白い茎が一面にならんでいてそこに射す月の光じゃ、我を忘れて白い菜に手がふれた。」
「畑物に月がさしたらそれはみな仏の座のように申します。