Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
床柱には懸蓬莱が畳の上まで緑の蔓を曳いております。葛岡は冬牡丹に万両の描いてある銀屏風を眺めていましたが、
「僕は、こんな立派な料理屋へ来たのは始めてだ」
と言いました。それから心配そうに、
「僕は十二三円しか持ってないが、大丈夫かい」
と訊きました。
わたくしは「あたしが五円ぐらい持ってるからたぶん大丈夫よ」と言いました。二人はまたしばらく黙って、これから切出される問題に触れるのを少しでも先へ延したい気持でありましたが、そのうちに、わたくしにも葛岡にも、こうして二人がいつかどこかで落合って身に迫ったことを相談しなくてはならない運命を兼て予想していたものゝように、今こゝでこうして二人が差し向いでいることが学園での花畑より極めて自然であり、却って二人の真の対座であるように思い做されて来ました。従って、遂に切出された葛岡の話し振りも、無駄を省いて直ぐ中身を相手の秤にかける内輪話の性質を帯びています。葛岡は言いました。
「安宅先生は学園を出た。もう還らない」
わたくしは、つく/″\溜息をして、
「そう、やっぱり――」と言いました。
「君や僕が学園にいるうちは、安宅先生は決して還らないのだ」