Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
ことにその日は二月下旬の長閑な日で、新橋を出ると、もうすぐに汽車の窓から春の海が広々とながめられます。わたくし共の若い心はなんとなく浮き立って来ました。国府津へ着くまでのあいだも、途中の山や川の景色がどんなに私どもの眼や心を楽しませたか知れません。国府津から小田原、小田原から湯河原、そのあいだも二人は絶えず海や山に眼を奪われていました。宿屋の男に案内されて、ふたりが馬車に乗って宿に行き着きましたのは、もう午後四時に近いころでした。
「やあ、来ましたね。」
継子さんの兄さんは嬉しそうにわたくし共を迎えてくれました。お兄さんは不二雄さんと仰しゃるのでございます。不二雄さんはもうすっかり癒ったと言って、元気も大層よろしいようで、来月中旬には帰京するということでした。
「どうです。わたしの帰るまで逗留して、一緒に東京へ帰りませんか。」などと、不二雄さんは笑って言いました。
その晩は泊まりまして、あくる日は不二雄さんの案内で近所を見物してあるきました。春の温泉場――その、のびやかな気分を今更くわしく申上げませんでも、どなたもよく御存じでございましょう。わたくし共はその一日を愉快に暮らしまして、あくる火曜日の朝、いよいよここを発つことになりました。