Classici giapponesi con furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Leggi 白くれない (しろくれない) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.846 caratteri · 50 schermate
馬十亡き後、如何にしてわれ等が命を繋ぎ候べき。御身此頃、俄かに心弱り給へるは、左様の由無き事ども思ひ続け給へる故ぞかし。人を斬り度くば峠々に出でゝ旅人をも待ち給へかし。馬十ばかりは此寺の宝物なり。われ等が為には無二の忠臣に候はずや。身に代へて斬らせ参らする事あらじと云ふうちに、馬十と怪しげなる眼交せして左右に別れ、われ一人を方丈に残して立去りぬ。
さて其の後、二人とも何処にか行きけむ。声も無く、足音もきこえず。半刻あまりの間、寺内、森閑として物音一つせず。谷々に啼く山鶯の声のみ長閑なり。
わが疑心又もや群り起り、嫉妬の心、火の如くなりて今は得堪へず。錫杖の仕込刀を左手に提げて足音秘めやかに方丈を忍び出で、二人を求めて跣足のまゝ本堂の周囲を一めぐりするに、本堂の階段の下に微かながら泥の跳ね上りし痕跡あり。其処より床下へ匐ひ入り行くに積み並べたる炭俵の間に、今まで知らざりし石の階段あり。その階段の下より嗅ぎ慣れし白檀の芳香、ゆるやかに薫じ来る気はひあり。
われ心に打ちうなづき、薄湿りせる石階のほの暗きを爪探りて、やゝ五六段ほど降り行きしと思ふ処に扉と思しき板戸あり。