Classici giapponesi con furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Leggi 白髪鬼 (はくはつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.046 caratteri · 224 schermate
別に厳重な塀がある訳ではなく、押せば開く枝折戸をあけて、不思議なお豊は、雑草の茂るに任せた別荘の庭へと這入って行く。
わしはそれを見届けて置いて、ソッと廻り道をして、庭に連なる森林の、とある大樹の蔭に身を隠し、じっと婆やの様子を見守っていた。
深い森蔭は昼間も薄暗く、どこかで鳴き始めた蝉の声の外には、物音一つせぬ淋しさ。そこに取残された廃屋の庭を、異様な老婆がゴソゴソと歩いて行くのだ。わしはふと何とも云えぬ恐怖に襲われて、真暗な大樹のうしろで、ワナワナと震えていた。
庭の雑草の真中に、一本の紅葉が立っている。お豊はそこへたどりつくと、紅葉の根元にしゃがんで、手を合せ、しきりと何かを拝み始めた。
爪先立てて覗いて見るが、そこには別に礼拝する様なものはない。まさか紅葉の木を拝んでいるのではあるまい。それともこの婆や、気でも違ったのかしらん。
イヤイヤ、そうではない。お豊の頬には涙が流れている。よっぽど悲しいことがあるのだ。それに、あの様子は、どうやら誰かの墓をでも、拝んでいる様に見えるではないか。やっぱりそうだ。あの紅葉の根元に、何か恐ろしい秘密が隠されているのだ。