Classici giapponesi con furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Leggi 白髪鬼 (はくはつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.046 caratteri · 224 schermate
それからのわしは、地獄の底から這い出して来た、一匹の白髪の鬼であった。払えども去らぬ、蛇の様な執念の虜であった。そして、わしは人を殺した。アア、わしは世にも恐ろしい殺人者なのだ。
わしは当然、お上の手に捕えられ、獄に投ぜられた。裁判の結果は、死刑にもなるべき所を、刑一等を減ぜられ、終身懲役と極まった。死刑は免れた。併し、絞首台の代りに、わしの良心が、わしの肉体を、長い年月の間に、ジリジリと殺して行った。わしの余命は、もう長いことはない。身の上話をするなら、今の内だ。
さて、身の上話を始めるに当って、二つ三つ、断って置かねばならぬことがある。少々退屈かも知れぬが、これは皆、わしの物語に非常に重大な関係を持っていることだから、我慢をして聞いて貰い度い。
第一に云って置き度いのは、わしの生れだ。わしはこれでも、大名の家に生れた男だ。大大名ではないけれど、名前を云えば知っている人も多かろう。わしの先祖は九州の西岸のS市を中心として、あの辺一帯で、十何万石を領していた、小さい大名なのだ。名前かね。それをこんな場合に公表するのは、死ぬ程恥かしいし、先祖に対しても実に申訳がない。