Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate

Aozora Bunko

起したくなかった。考え方次第によって、起さずにも済みそうな気さえしていた。

座がきまったと見て取って、すすみ出た神山外記が云うのであった。

「ご存じよりの通り、わが殿、久々のご帰館、ご健勝の体を拝し、よろこびに堪えません、身どもらこの日をどれほどお待ち申したことでございましょう、例えて見れば、昨日までの身どもらは長なき船も同然、それも今日では昔がたりになりました。やがて帆をあげ勇ましく船出することも出来るでございましょう、取りあえず本席はそれを祝って、一献さしあげたく――」

「ありがたいことでございます」と彼らは頭を低げた。

「それでは――」

「これでお揃いか」

邦夷はそう云って盃を取りあげた。瓶子をささげた女が辷るように前に出た。

燭台の焔があたりに黄ばんでいた。

控えていた接待のものが座にはいって来た。両側に別れて、着座の順を追って盃をあげて行った。くすんだような深い赭色に塗られた盃は、冷たい酒をたたえて、内から、描かれた金蒔絵の長老姿を浮きあがらせた。人々はそれを見凝めてそしてあおった。親椀のふたを取る音がやわらかにつたわった。

しばらくは箸の音と、ものを食う音が入りみだれていた。