Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
藤原氏が亡んだのも、平家が亡んだのも、また北条氏が亡んだのも、直接打ったものは武力という棒切れだが、案外、それを望んだ意欲は民心という天邪鬼がさせた業だったかもしれないと、正成は歩きながら考える。――そして現朝廷の危殆がまた、それでなければ幸いだがと思うと、ふと道も暗いここちになった。
「おやかた様、おやかた様」
追っついて来た蔦王は、ひとりで笑いこけながら――
「そっちへ行っては道がちがいます」
「ほんにこう参っては桐山へ行ってしまうな」
「おやっ?」
「どうした、蔦王」
「あんなところに、野晒がすててある」
「野晒」
「ええ、人間の」
「捨てたのではなかろう」
数日前の大雨に土砂と共に流されてきたものとみえる。洗われて真っ白になった一個の頭蓋骨が、木暗い崖すそに、半ば埋もれていた。
「蔦王、拾って抱いて来い」
「え。あれをですか?」
山坂いくつ。肌は汗だが、山高まるほど、山気は冷々と毛穴にせまる。
「おやかた様」
蔦王は始終うしろからしゃべりかけて行く。持たせられた骸骨が不気味でならないものとみえ、
「この野晒は、どうなさるんです。上の金剛山寺まで持ってゆくんですか」