Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
そのためには、ずいぶん命をおとす者もあるが、ものともすることではない。鬼火すら燃えない風雨の晩でも、彼らの活動はやむことがないと武将たちの舌をも巻かせているのである。
だから彼らの貧土には、この大乱もまったくちがう意味の千載一遇と映っていた。火事泥はその本能にちかいものだが、無知で無力で、しかも善良な者の、戦争への揶揄も無自覚にはたらいていたし、また生きるためには、これが彼らの戦いであったと観られぬこともない。
「…………」
大蔵は急にその頬杖を外して。
「おい権三。おれのつらは変ったろ」
「変ったどころか。こうしていても、いぜんの忍ノ大蔵とは思えませんぜ」
「そうだろう、この面傷だ」
笑うと、その赤黒い痕は、一そう彼の顔に凄味を加えた。右びたいから眼の下の頬へかけての刀痕だった。
かつての年、楠木正季らの手に捕まって、加賀田の隠者毛利時親の山荘へと引ッたてられてゆく途中、あまりあばれたので、一ト太刀くッたそのときの古傷だった。
という仔細をかたって。
「じつはな、権三。……それからずっと、おれはいま言った加賀田の隠者に飼われて来たんだよ。意気地のねえはなしだが」