Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
ただ酒がからんでいる風でもなく、あぐらに首を突ッこむような恰好で大蔵は考えこんだ。
「じゃ、もひとつ訊きますがねえ先生。……どうしてこんどは山を降りちまったんですえ」
「大蔵」
「おや、なにか気に食いませんか」
「きさまの一命はわしに助けられたものだったな。酒もつつしみ、一切の命に服し、生涯をわしにくれるという約束だったな」
「ということでしたかね」
「なんだその態は。それが約束どおりか」
「こん夜だけは、ということでまあ今の返辞を聞かせておくんなさい」
「途々も聞かせたろうがの」
「あれだけですか。身の素姓が知れたので寄手の大将が迎えにきた。寄手の陣に迎えられれば自分は元来北条氏の一族だから北条方につかねばならん。それだけですかい」
「栄達はのぞまんのだ」
「それはいつも伺ってたから、さすが、おえらい隠者だ、おえらい学者だと、すっかり心服していたんですがね」
「なにが不服でそんなことをば今夜にかぎッて言い出すか」
「腑におちねえのさ。この大蔵には気にくわねえことが一つある。何ンでしょう、おまえさんは楠木正季さまやらあの近郷の若武士たちにはずいぶん崇められて、そして戦になる前から戦をしろと常々けしかけておいでなすったンでございましょ」