Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
おまえさんは、あっしがいいおちつき場所をきめておいたから、六波羅の内へ入って、せいぜい、鼻毛の毛抜きと虫蝕い本でもそばにおいて、独りでおうたくらな熱でも吹いているがいい」
「だ、だまれっ」
「だまるさ。もう、おさらばだ。長居はしていられねえ」
「待て」
「まだ用か」
「きさま、わしをここにおき去りにして、しんじつ、千早へ走る気か」
「くどいな。さすがおまえさんも山を出るとまるで木から落ちた猿だったね。さっきから、足もとも見ていねえンでしょ。下の道をごらん、山すそを覗いてごらん。もうお迎えが来てるんだぜ」
「なに、なんじゃと?」
「おれはどこまで親切者さ。じつは六波羅の検断所へ、かくかくの人物がここにおりますと、密訴しに行っていたんだよ。すぐこの下まで、六波羅兵を案内して来ているのさ。呼んでやろう。――爺さん、逃げてもおそいぜ」
あまりのことに、ただあやしみにとらわれて、時親は、嘘かと思ったほどである。が、大蔵はひらと一だん高いところへ駈けあがって、下をのぞみ、大声で何ものをか呼んでいた。そしてもいちど、時親の頭上へ悪罵をあびせかけるやいな、一散になお上へむかって逃げ走ってしまった。