Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
そしてそれからのことでしたろ」
「そうそう、あれは後醍醐のきみが、隠岐へおうつしされるというので、洛中洛外、大へんな雑鬧の日でしたね。藤夜叉さん母子も、三河へ帰るといって、小松谷のおやしきを出て行ったが」
「その夕のこと。東寺のへんで不知哉丸さまがお一人で、迷子になって泣いていたと、検非違使の者から小松谷へ知らせがあり、仲時殿はじめ、私たちも、仰天したけれど、かいもくその当時は、母御の藤夜叉さんの方は分らずじまいでした……。それからも私たちには、一体何事が起っていたのか、ただ不審で過ぎてしまっていたのだけれど」
「でも、そのごは一色村へ帰って、お子の不知哉丸さまと一しょにお暮しなんでしょうに」
「そうなの……そうなんだけれどね、そこにあのひとの、何かの悩みが今もって、心の深いきず痕になっているらしいのね」
「だから、それは何なんです」
「書いてないんです、はっきりとは」
「書いてなくては、慰めて上げようもないではありませんか」
「けれど女の私には、そんなときの女の身にどんなことが起っていたか、分らなくもない」
「へ。わかるんですか」
「きれいな女のひとにはね」
彼女は、それだけをいって、ふと黙った。