Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
すると、鬼六の自慢はすぐ部下への罵倒で表現された。
「かッ、たわけどもめら。うろうろとどこに、何を求めておりしぞ」
「いや、衛士と争うているすきに、つい菊王めを、捕り逃がしまいたので」
「何。逃がしたと」
「どこへ潜ったやら、見つかりませぬ」
「その人数でか!」
唾するように、
「ええい、措け措け。――それよりは、この朝臣こそ大事なれだ。それっ、すぐさま引っ立てろ」
もとより無知な雑兵輩である。わっとばかり寄りたかッて俊基の身に縄を縛けようとする。が、俊基はきびしい眉をいからせて、しりぞけた。断乎としてゆるさなかった。「――逃げぬもの」と、前提して、言って聞かせた。
「束帯の上から縄打つ法はあるまい。まして宮門の内より縄付きを出してよいものか。万一、どうしても肯じねば、俊基、この場で舌を噛み切って死ぬまでぞ。ならば、汝らの功もむだとなり、鎌倉の譴責はのがれ得まいが」
で、二の句もなく、
「縄はよせ。そのまま囲んで」
鬼六はもう先へ歩きかける。
「しばし待て」
俊基は、なお動かず。
「……死にもせず、素直にどこへでも歩いてやろう。が、暫時、おいとま乞いを申す間、なんじらも神妙に、そこにて待て」