Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

Leggi 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.829 caratteri · 169 schermate

Aozora Bunko

「あっ!」

クラパは答えの代りに、悲鳴をあげて、櫂を、流れにとり落した。

風を切って飛んで来た槍が、ぐさりと左の腕に突っ立ったのだ!

艫の方に坐っていた謙一は、さっきから、膝にのせた地図に見入っていて、気がつかなかった。

槍は、舟をやり過して、後から謙一を狙ったらしく、咄嗟に身をかわした謙一の前にいたクラパの腕に突き刺ったのだ。

「体を伏せろ!」

謙一はピストルを握りしめて、対岸をにらんだ。

ゴム林と、チガヤの高原だ。ぼうぼうと河岸に覆いかぶさったチガヤは、襲撃者の身をかくすのにおあつらいむきだった。

それに、日没にも間がないらしく、河の面には夕焼を映した、たそがれがしのび寄っていた。

チガヤの間から、頭をもたげたものがある。一つばかりの数ではなかった。

そうするうちにも、舟は、下流に押し流されていた。

つづけさまに二、三発、狙いを定めて、だーん、だーん、と引金をひくと、たしかに手ごたえがあって、草むらの中に、鋭い叫びと、うめくような声がおこった。

相手は別に、追いかけて来る様子も見えず、舟との距離が、しだいに遠ざかって行った。

不安な一夜

不安な一夜であった。