Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どうてい

童貞

豊島 与志雄

Leggi 童貞 (どうてい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6314 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

何だか身が縮こまってきた。……父は感づいているのじゃないかしら。うっかりは出来ないぞ。いつまでもじっとして、黙りこくっていた。

「早く行ってきたらいいでしょう。……あ、そうそう、御飯を食べてからにしますか。」

「ええ。」

洋食を食べてから余りたたない腹へ、無理に茶漬を一二杯つめこんだ。

母も一緒に、干物の匂いを立てながら、つつましく食事をし初めた。牛乳だけを飲んだ父は、散歩代りに庭を歩いていた。

「こんど井上さんがいらしたら、昨日の御礼に御馳走をしてあげなければいけませんよ。」

そんなことを云いかける母の側から、ぷいと箸を捨てて立ち上った。が、さて、変に身の置きどころがなかった。

縁側に立ってると、庭の植込の影に父の姿が見えた。

「お父さん、外に何か用はありませんか。」

一寸機嫌をとるつもりで云ったんだが、父は別に怒ってる風も……疑ってる風もなかった。

「上野はどうだい。……もう咲いたかな。」

庭の隅から伸び拡がってる、低い桜の枝の下を、父は浅黒い顔で歩いていた。

「まだでしょう。」

「そうかな……。兎に角この……桜の咲きかける時分が一番眠いものだが、お前も休みだからって朝寝をしないで、しっかり勉強しなくちゃいけないよ。