Classici giapponesi con furigana
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
Leggi 笑う悪魔 (わらうあくま) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.687 caratteri · 55 schermate
「ハイ、私が立会いました、が、何んの変ったことも無かった筈です」
「先刻の騒の後は警官が見張ってくれたし、入口の締りにも変りは無いようだ」
その間に秘書の本田は特許の大型の錠を抜き、更に古風な鉄の鍵を持って来て、二重の締りを開けました。
「この通り――」
幾つかの懐中電燈の灯の中に、一と足先に入った本田は、入口に取付けてある電灯のスイッチを捻ると、土蔵の中は真昼の如く明るくなって、奥の奥まで一と眼に見渡せます。
「あッ、やられたッ」
主人の三郎兵衛はさすがに中の異状さに気が付きました。指した方を見ると、正面に据えた大金庫の扉は八文字に開かれ、棚の上の物が引卸され、書画骨董、古文書銅器、あらゆる物々しいお宝が、滅茶滅茶に取散かしてあるではありませんか。
熊谷三郎兵衛はそれっ切り立ち縮んでしまったのです。多少玉石混交ではあったにしても、兎も角正貨準備か何んかの積りで、半分は思惑気で買い集めた夥しい美術骨董品の中には、世に得難い宝や、万金を積んでも手に入れることの出来ない品は、十や二十では無かったのです。
ざっと眼を通した丈けでも、国宝級のもの七つ八つ、重要美術品に至っては幾十点あるか数え切れないという程の被害で、これを金に積ったら、国の財政を何十日か賄うことも出来たでしょう。