Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate

Aozora Bunko

幸子は、前栽に丈高く伸びた紅白の萩が散りかかっているのを眺めながら、母が亡くなった時の、あの箕面の家の庭の風情を想い出していたが、男たちの多くは欧洲戦争のことを話題に上せた。女たちは例に依って「雪子娘さん」とこいさんの若さを褒めたが、それも辰雄に当て付けがましく聞えないように、程々にした。ただ、昔の店員の一人である戸祭と云う男が酔っ払って、

「雪子娘さんはまだお独りやそうですなあ、―――」

と、末座から胴間声を挙げて、

「いったい何でですねん」

と、無遠慮に畳みかけたので、ちょっと座が白けかかったが、

「うち等はな、どうせ後れついでですよってにな、―――」

と、妙子がことさら落ち着き払った口調で云った。

「―――ゆっくりとええ人を捜しまんねん」

「そうかて、ゆっくり過ぎますやないか」

「阿呆らしい。『今からでも遅うない』云うことがありまんがな」

彼方此方で女たちが控え目な笑い声を洩らした。雪子も黙ってニコニコしながら聞いていたが、辰雄は聞えない振りをしていた。と、国防服の上衣を脱いでワイシャツ一つになっている塚田が、

「戸祭君々々々」

と、向う側から呼びかけて、

「君は近頃、株で大層儲けはったそうやおまへんか」