Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

テーブルの椅子に腰をおろすと、副島はチョビ髭をひねりながら、

「やあ、お歴々が来とるなあ」

と、部屋中を見まわした。

畳敷にすれば、六十枚以上も敷けそうな板の間に、幾組もテーブルが置いてある。一番奥では、三十人ばかりの宴会がひらかれている。仕切りとは名ばかりの低い衝立が立ててあるきりなので、客は丸見えだ。賑やかに談笑している。

金五郎は、仕事関係以外、まだ、よく、この街の人を知らなかったので、訊いてみた。

「副島さん、お歴々というのはどなたですか?」

「なにが、今夜、あっとるのかな? 町会議員の顔が、仰山、見えるが。……蒲瀬町長も来とる。小田助役、石井収入役も居るな。……玉井君、あれが、佐藤慶太郎氏だよ。炭鉱をいくつも持っとる大金持だ。……その右手のが、安川敬一郎氏、安川財閥の御大。……それから、右に、順々に、帆足市右衛門氏、瓜生徳平氏、大貝潜太郎氏、石崎敏行氏、……」若松生えぬきの副島は、よく土地の名士を知っていて、一人のこらず、金五郎に教え、「築港会社の田中さんも居るし、……役場で、昼間、市制施行についての懇談会でも、やったのかも知れん」

運ばれて来たビフテキ、トンカツ、エビフライなどを、馴れぬナイフとフォークで切りながら、ビールを飲んだ。