Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
しかし、湯に濡れて光る、友田の肌の大蛇、蝦暮、蛞蝓などの眼は、どれも、金五郎を睨んでいるように、妖しく蠢いている。それを金五郎の腕の龍が、睨みかえしているように見える。こういう途轍もない怪物たちが参加して、狭い浴室のなかには、奇妙な鬼気に似たものがただよった。
「チボにやられたそうじゃなあ」
「ええ、でも、なにもなくなりはしませんでした。その場で捕まりましたから、……」
「間抜けな泥棒じゃ」
友田は金五郎の盗難を、よい気味だと思ったのかも知れない。そして、財布が返らない方を望んでいたのかも知れない。
「なにか、御用でしたか?」
と、金五郎は訊ねた。
「うん、ちょっと話したいことがあってな。駅で、今夜、宿で懇談しようというたけんど、晩飯食うたら、悪徒どもが、吉原へしけこもうといいよるけ、その前に話しとこうと考えなおしたんじゃ。どこで話しても同じじゃし、ここへ来た」
友田は努めてなにげない様子を装おうとしているけれども、金五郎への敵意が、腹中にたぎっていることは、その鋭い鳶の眼の光、金属的な黄色い声の端々に、断続的にあらわれる。
「承ります」
「もう、君にはいわんでもわかっとると思うが、……」