Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
大小船舶の碇泊している洞海湾は、どんよりした曇天の下で、灰色の水をたたえ、時に風をまじえて波立った。
二階の正面に「OYADAMA SHOKUDO」という、ローマ字の看板がかかげられてある。緑のペンキで塗られたレストランだ。
「どうも、天気がカラッとせんなあ」
今にも降りだしそうな空を見あげて、布袋腹の原田雲井がいった。顎を包んでいる長髯をなでまわす。
「昨日のメーデーは、雨の中でやったところが多いらしいね」
井上安五郎も、金魚の眼をひっぱりあけるようにして、空を仰いだ。
原田は、煙草に火をつけて、一服吸ってから、
「天気が悪いと、人間の気持もさっぱりせん。帝国議会も、大層、荒れたらしか様子じゃね。今度の五十八議会は、はじめから、気が立っとったばって、予算総会になってから、また、大喧嘩はしちょる。若松の市会議員も、あんまり柄が良うはなかばって、代議士の方は、も一つ、それに輪をかけて、悪かごたる。国民のことなんて、どげんでもよかとじゃな。党利党略、嫉みあい、縄張り争い、愚劣な罵詈讒謗、低級な弥次、わざとの喧嘩、議事規則の無視、あげくの三八にゃ、ゴロツキでもやらんげな、気違いじみた取っ組みあい、乱闘騒ぎ――さぞかし、吉田磯吉親分の働きどころが、多かったろうや」