Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
後は、例の、照れかくしの下手な芝居さ」
「でも、……大庭の親方や、藤本さんの方には、……?」
「なんとかなろうわい。どの道、あっちも、こっちも、丸く、……そんな具合には行かん。おれは、いつの間にか、ヤクザ仁義の毒に、食いつかれちょったことに気づいたよ。顔――なんでもかんでも、顔。……顔をつぶした。顔が立たん。顔に泥を塗った。顔に免じて。……今度の縁談でも――大庭親方の顔をつぶしたらいかん。くずれたら、おれの顔が立たん。……そんなことばっかり考えて、かんじんの勝則の気持は、二の次にしとった。名だかい藤本組との結びつき、……慾もあったかも知れんなあ」
金五郎は、そこにある茶を飲んだ。冷たくなっていたが、気持よく、咽喉を通った。
マンは、煙管を取りあげた。
時計が鳴りだした。二人は、期せずして、その音を聞く顔つきになった。四つ、打った。
鶏が鳴いている。
「あの時計、丈夫じゃなあ」
「やっぱり、気張って、四円七拾銭も出して、買うただけあったわね」
「まだ、何十年も持つぞ」
明治三十九年四月、玉井組の営業開始紀念に、買い求めたのである。そのことが時計の裏に書いてある。