Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Leggi 苦心の学友 (くしんのがくゆう) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.732 caratteri · 332 schermate

Aozora Bunko

「いいからできるところまでやってみたまえ」

「何番ですか?」

「ボンヤリしてちゃいけないね。

きみはなにをしていた? 今の説明をきいていなかったね?」

「はあ」と横田生は恐れ入っておじぎをした。

「おじぎをすると一回で一点ずつ平常点がへるよ」

と橋本先生はナカナカきびしい。しかしそれだけでもうとがめもせず、つぎへ廻した。

「内藤君」

「はい」

「ここへきて例題をやる」

「はあ」

と正三君は元来優秀な上に家庭教師に見てもらっているから安心なものだ。すぐに教壇へ進みよって黒板へむかった。しかしその時、みんなクスクス笑いだした。えり首のところから短冊ほどの紙きれが背中へつるさがっていて、墨痕あざやかに『花岡の家来』と書いてある。

「なんだ? これは」と先生が引っぱり取った時、

「さあ」

と正三君は初めて気がついて頭をかいた。みんなドッと笑う。

「横田」

「はい」

「お前だろう? このいたずらは」

「はあ」

と横田生は机の上に平身低頭した。正直だからでない。橋本先生のこわいことを知っているのだ。かくしてお手数をかけると罪が重くなる。

「きみは数学をやらずに、こんなことをしているのか?」