Classici giapponesi con furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Leggi 苦心の学友 (くしんのがくゆう) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.732 caratteri · 332 schermate
と欲張ってもいた。
「なぜでございますの」
「お父さんも私もやっぱりご家中の人でなければいけないと思っていますから、おやしきへあがってちょうどいいお婿さんをご詮議していただきますわ」
「まあ! いやなお母さん」
「いいえ。うかうかしちゃいられませんよ。君子ももう十七ですからね」
「あら、私、そんなことどうでもいいんでございますよ」
と君子さんも縁談と聞くとすぐに赤くなる。
内藤さんの家庭は三百石を忘れないだけあってごく昔風だ。
四日目の午後内藤さんの門前に伯爵家の自動車が止まった。
「お母さんお母さん、おやしきの奥様でございますよ」
と君子さんが血相を変えて注進した。お風呂場で洗濯をしていたお母さんは、
「あらまあ、どうしましょうね?」
とシャボンだらけの手でてんてこを舞った。
「困るわねえ、平民的すぎて」
貴子さんも狼狽した。実は事によるとほんとうにおいでになるかもしれないと思って、三、四日用心していたのをあいにく今日から油断したのだった。
「御免。御免」
ともう運転手が玄関で呼んでいる。
「はい。はあい」
と君子さんははじめて気がついたように取次ぎに出る。その間に貴子さんが客間を検分する。