Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋

菊池 寛

Leggi 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.078 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

弥五七 よくぞ仰せられた。ははは。

千寿 (やや取りなすように)ほんに、日頃から貞女の噂高いそなたでなければ、さしずめ疑いがかかるところでござりますのう。楽屋へ御用でござりまするか。さあお通りなさりませ。

お梶 あのう、嵐三十郎様に、お客様からの言伝を。

千寿 さようでござりまするか。さあ、お通りなさりませ。

(お梶、会釈して通り過ぎる。役者の部屋の方へ行かんとして、部屋を立ち出でたる藤十郎と顔を合わす。二人とも、瞬間的に立ち竦む。お梶ちょっと目礼して行き過ぎる。藤十郎、しばらく後姿を見詰むる)

四郎五郎 (藤十郎の立ち出でたるを見て)今も、そなた様の噂をしてじゃ。今度の狂言について、楽屋の内外に広がった噂を、ご存じか。

藤十郎 (座元らしい威厳を失わないで)一向聞きませぬな。

弥五七 噂の本尊のそなた様が知らぬとは、面妖な。

千寿 藤様にはいわぬがよいわいな。

弥五七 いわいでも、いつかは知れることじゃ。藤十郎様、お聞きなさりませ。今度の狂言の工夫にそなた様がある人妻に恋をしかけたとの噂じゃ。

藤十郎 (快活に笑って)埒もない穿鑿じゃ。いつぞやも、わしが嵐三十郎の手負武者を介抱すると、あまり手際がよいというて、やれ藤十郎は外科の心得があるなどとやかましい沙汰じゃ。