Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
謎の女が苦し紛れの屈託顔に六畳敷を出たのは、焦慮いが高じて、布団の上に坐たたまれないからである。出て見ると春の日は存外長閑で、平気に鬢を嬲る温風はいやに人を馬鹿にする。謎の女はいよいよ気色が悪くなった。
椽を左に突き当れば西洋館で、応接間につづく一部屋は欽吾が書斎に使っている。右は鍵の手に折れて、折れたはずれの南に突き出した六畳が藤尾の居間となる。
菱餅の底を渡る気で真直な向う角を見ると藤尾が立っている。濡色に捌いた濃き鬢のあたりを、栂の柱に圧しつけて、斜めに持たした艶な姿の中ほどに、帯深く差し込んだ手頸だけが白く見える。萩に伏し薄に靡く故里を流離人はこんな風に眺める事がある。故里を離れぬ藤尾は何を眺めているか分らない。母は椽を曲って近寄った。
「何を考えているの」
「おや、御母さん」と斜めな身体を柱から離す。振り返った眼つきには愁の影さえもない。我の女と謎の女は互に顔を見合した。実の親子である。
「どうかしたのかい」と謎が云う。
「なぜ」と我が聞き返す。
「だって、何だか考え込んでいるからさ」
「何にも考えていやしません。庭の景色を見ていたんです」
「そう」