Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「あれも不憫だからね」

小野さんは、そうだとも、そうでないとも云わなかった。手は膝の上にある。眼は手の上にある。

「私がこうして、どうかこうかしているうちは好い。好いがこの通りの身体だから、いつ何時どんな事がないとも限らない。その時が困る。兼ての約束はあるし、御前も約束を反故にするような軽薄な男ではないから、小夜の事は私がいない後でも世話はしてくれるだろうが……」

「そりゃ勿論です」と云わなければならない。

「そこは私も安心している。しかし女は気の狭いものでね。アハハハハ困るよ」

何だか無理に笑ったように聞える。先生の顔は笑ったためにいよいよ淋しくなった。

「そんなに御心配なさる事も要らんでしょう」と覚束なく云う。言葉の腰がふらふらしている。

「私はいいが、小夜がさ」

小野さんは右の手で洋服の膝を摩り始めた。しばらくは二人とも無言である。心なき灯火が双方を半分ずつ照らす。

「御前の方にもいろいろな都合はあるだろう。しかし都合はいくら立ったって片づくものじゃない」

「そうでも無いです。もう少しです」

「だって卒業して二年になるじゃないか」

「ええ。しかしもう少しの間は……」