Classici giapponesi con furigana
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にじのはし
虹の橋
久生 十蘭
Leggi 虹の橋 (にじのはし) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.038 caratteri · 30 schermate
翌日、永田が投げだすようにいった。
「どの家にも、真山あさひという女が働いていた事実はなかった。のみならず、真山あさひという女は、二十七年九月八日に、淡路島で死んでいるんだぜ」
「それが北川千代です……働いていた事実がないとおっしゃいましたけど、顔を見れば、いやでもわかるはずです」
「お前は三十回以上も職を変えたそうだが、お前をひっぱって、一軒ずつ面通しをして歩けるか。馬鹿なことをいうな」
警察とのやりあいが、きまりのつかないうちに拘留満期となり、小菅の東京拘置所へ移されたが、そこでも、さっそく取調べがあった。拘置所の調べ室で、細面の、謹直なようすをした取調べ官が、丸テーブルの向うに掛けて、あさひを待っていた。
「お前は北川フサのところでも、警察でも、北川千代と名乗っていた。そうだね?」
「そうです」
「自分が北川千代であることを肯定しながら、北川千代の犯罪事実を否定しようとしているが、北川千代と公訴による犯罪の事実は不可分なものだ。この点、矛盾しているとは思わないのか……お前が大阪へ行く前に、祖母のフサに、東京に居憎いことができてよそへ行くが、大阪へ行ったことは、誰にも言わないでくれ。