Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうじん

行人

夏目 漱石

Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate

Aozora Bunko

しかし女房を貰ってから後で、子供が欲しくなるものかどうか、そこになると自分にも判断がつかなかった。

「結婚すると子供が欲しくなるものですかね」と聞いて見た。

「なに子供が可愛いかどうかまだ僕にも分りませんが、何しろ妻たるものが子供を生まなくっちゃ、まるで一人前の資格がないような気がして……」

岡田は単にわが女房を世間並にするために子供を欲するのであった。結婚はしたいが子供ができるのが怖いから、まあもう少し先へ延そうという苦しい世の中ですよと自分は彼に云ってやりたかった。すると岡田が「それに二人ぎりじゃ淋しくってね」とまたつけ加えた。

「二人ぎりだから仲が好いんでしょう」

「子供ができると夫婦の愛は減るもんでしょうか」

岡田と自分は実際二人の経験以外にあることをさも心得たように話し合った。

宅では食卓の上に刺身だの吸物だのが綺麗に並んで二人を待っていた。お兼さんは薄化粧をして二人のお酌をした。時々は団扇を持って自分を扇いでくれた。自分はその風が横顔に当るたびに、お兼さんの白粉の匂を微かに感じた。そうしてそれが麦酒や山葵の香よりも人間らしい好い匂のように思われた。