Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
十一
自分はこの手紙を出しっきりにして大阪を立退きたかった。岡田も母の返事の来るまで自分にいて貰う必要もなかろうと云った。
「けれどもまあ緩くりなさい」
これが彼のしばしば繰り返す言葉であった。夫婦の好意は自分によく解っていた。同時に彼らの迷惑もまたよく想像された。夫婦ものに自分のような横着な泊り客は、こっちにも多少の窮屈は免かれなかった。自分は電報のように簡単な端書を書いたぎり何の音沙汰もない三沢が悪らしくなった。もし明日中に何とか音信がなければ、一人で高野登りをやろうと決心した。
「じゃ明日は佐野を誘って宝塚へでも行きましょう」と岡田が云い出した。自分は岡田が自分のために時間の差繰をしてくれるのが苦になった。もっと皮肉を云えば、そんな温泉場へ行って、飲んだり食ったりするのが、お兼さんにすまないような気がした。お兼さんはちょっと見ると、派出好の女らしいが、それはむしろ色白な顔立や様子がそう思わせるので、性質からいうと普通の東京ものよりずっと地味であった。外へ出る夫の懐中にすら、ある程度の束縛を加えるくらい締っているんじゃないかと思われた。