Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうじん

行人

夏目 漱石

Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate

Aozora Bunko

入口であら姐はんという感投詞を用いたものもあったが、それはただの一遍に過ぎなかった。それも廊下の端に洋傘を置いて室の中へ入るや否や急に消えたように静かになった。

「君はあの女を見舞ってやったのか」と自分は三沢に聞いた。

「いいや」と彼は答えた。「しかし見舞ってやる以上の心配をしてやっている」

「じゃ向うでもまだ知らないんだね。君のここにいる事は」

「知らないはずだ、看護婦でも云わない以上は。あの女の入院するとき僕はあの女の顔を見てはっと思ったが、向うでは僕の方を見なかったから、多分知るまい」

三沢は病院の二階に「あの女」の馴染客があって、それが「お前胃のため、わしゃ腸のため、共に苦しむ酒のため」という都々逸を紙片へ書いて、あの女の所へ届けた上、出院のとき袴羽織でわざわざ見舞に来た話をして、何という馬鹿だという顔つきをした。

「静かにして、刺戟のないようにしてやらなくっちゃいけない。室でもそっと入って、そっと出てやるのが当り前だ」と彼は云った。

「ずいぶん静じゃないか」と自分は云った。

「病人が口を利くのを厭がるからさ。悪い証拠だ」と彼がまた云った。

二十三