Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろじょう

路上

芥川 竜之介

Leggi 路上 (ろじょう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.539 caratteri · 87 schermate

Aozora Bunko

俊助は金口の煙を鼻へ抜きながら、気がなさそうに犬の頭を撫でてやった。

「この間、栗原の家にいたやつを貰って来たんだ。」

野村は給仕の持って来た珈琲を俊助の方へ押しやりながら、また肥った指の先を着物の襟へちょいとやって、

「あすこじゃこの頃、家中がトルストイにかぶれているもんだから、こいつにも御大層なピエルと云う名前がついている。僕はこいつより、アンドレエと云う犬の方が欲しかったんだが、僕自身ピエルだから、何でもピエルの方をつれて行けと云うんで、とうとうこいつを拝領させられてしまったんだ。」

と、俊助は珈琲茶碗を唇へ当てながら、人の悪い微笑を浮べて、調戯うように野村を一瞥した。

「まあピエルで満足しとくさ。その代りピエルなら、追っては目出度くナタシアとも結婚出来ようと云うもんだ。」

野村もこれには狼狽したものと見えて、しばらくは顔を所斑に赤くしたが、それでも声だけはゆっくりした調子で、

「僕はピエルじゃない。と云って勿論アンドレエでもないが――」

「ないが、とにかく初子女史のナタシアたる事は認めるだろう。」

「そうさな、まあ御転婆な点だけは幾分認めない事もないが――」