Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate

Aozora Bunko

私は土間へ引っくり返ってワンワン泣き出しました。何をいうにも今年十五の色男だすケに根っから他愛がありませぬ。そこへ奥から母親が出て来まして、

『何事、泣きよるとナ』

と心配して聞きましたから、

『指環の無うなったあ。ウワア――』

と一層、高音を揚げて精一パいに泣出しますと、母親は私の坊主頭を撫でながら、

『ヨカヨカ。指環ぐらい其中、買うちゃる』

と慰めてくれました。私は腹立ち紛れに、

『アンタに買うてもろうたチャ詰まらん』

と怒鳴ってメチャメチャに泣出しましたが、あん時はダイブ失恋しておりましたナア。

鰒も、ずいぶん喰いましたなあ。

私の口から云うのも何で御座いますが、親父は市場でも相当顔の利いた禿頭で御座いましただけに、その頃はまだ警察から禁められておりましたフクを平気で自宅の副食物にしておりました。まあだ乳離れしたバッカリの私の口へ、雄精なぞを箸で挟んで入れてくれますので母親がビックリして、

『馬鹿な事ばしなさんな。年端も行かん児供が中毒って死んだならどうしなさるな』

と押止めますと、親父は眼を剥いて母親を怒鳴付けたそうです。

『……甘いこと云うな。鰒をば喰い能らんような奴は、博多の町では育ち能らんぞ。