Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
なお自分でこめかみを揉みながら、
「どうだい、吉見さんは来ますか?」
「迎えに来てくれるんですって、よかったわ」
「そりゃよかった。一人で帰るつもりなのかと思っていたところだ」
泰造の様子を眺めていた伸子は、立って父の椅子のうしろにまわって行った。
「お父さま、わたし頭をもむのがうまいのよ、すこし揉みましょう」
泰造の頭は、左右の角を円く充実してよく発達していた。脳天のところが、よくみのった実の丈夫な殼のようにしまって低くなっている。泰造のその頭は、マッサージしている伸子の指さきに今夜はのぼせをつたえ、伸子が子供のときからかぎ馴れているオー・ド・キニーヌの匂いがする。あったかくて、重くて大きい父の頭にさわるのは、何と久しぶりだろう。伸子は、麻のハンカチーフごしに、父のはげた頭へ自分の頬をふれた。
「お父様も、御苦労さま」
「うちの連中にも困ったもんだ。みんながてんでに勝手なことばかり云っている」
父のうしろに立っていて、その頭をマッサージしていることは、伸子を口のききやすい位置においた。泰造にしても同じ工合らしかった。
「和一郎にも困る」
それは体裁をつくろったところのない云いかたであった。