Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
「――病気が事務的に解決できるものなら、わたしだって、何もこんなに苦しみやしない」
なか一日休養して、けさ、ようやく出直しの出発だというのに――。
窓の外にふる雨を見ながら、伸子は身じまいをした。そして、廊下へ出ると、寝室から浴室へ行こうとしている泰造に出会った。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「――雨ね、お父様」
泰造は、白い短い髭のある上唇を、むくりと動かすようにして、
「ああ」
めずらしく、ぶっきら棒な返事だった。
「だまっているんだ。また問題がおこるから」
伸子によけいなお喋りをするな、ということなのか、それとも、うるさいから俺はだまっているんだ、というわけなのか。どっちにしろ、それは伸子に、普通でない泰造の気分を感じさせた。浴室に入ってドアをしめる父親のうしろつきを、廊下にたって伸子はじっと見送った。
おととい、多計代から傷つけられた泰造のこころもちは、いやされていないのだ。
伸子は、まだ仕度されていない食堂へ行って、ぼんやり立っていたが、やがて、寝室のドアをノックしてあけた。多計代はもう起きていて、電燈をつけた鏡に向って髪を結い終ったところだった。