Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate

Aozora Bunko

ホテルとよばれているけれども、どこにもホテルらしい設備も見当らないこんな建物の中で、臥たきりの野沢のために食事を運ぶ誰かがいるのだろうか。野沢の生活ぶりには、万事について一定の節度があった。伸子はそこを立ち入ってふれにくいのだった。

「お大事にね。わたしはフランスで病気したくないと思っているわ」

「特別フランスでというのは?」

「いつか、夏のころ、吉見さんがひどい歯いたを起して大さわぎしたことがあるんです。そのときわたしたち何も薬をもっていないでね、薬屋へ行ったら、三色菫の花の乾したのを煎じてのめってよこしたのよ。――あなたも、何かの葉っぱを煎じて、のまされていらっしゃるんじゃないのかしら」

野沢は、おもしろそうに笑った。

「僕は、幸、バイエルのアスピリンをのみましたがね」

「佐々さんのいう葉っぱってのは、カモミユのことだろう」

蜂谷良作は、笑いもしないで註釈した。

「ああ――カモミユ――あれはよくのむものらしいね」

次の日の午後六時ごろ、また伸子と蜂谷良作とは、野沢義二の住んでいる建物の埃っぽい鉄製の階段をのぼって行った。蜂谷良作は片手に紙包みを下げ、伸子はそれより小形のやっぱり紙の包みをもって。