Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
その弟をかばいつづけて少女になった伸子は、自分のピアノの先生が激しい跛だということにつよく心をうたれた。そのことについて、うちへかえってひとこともふれなかったほど、川辺みさ子に同情と尊敬をもった。親たちは、伸子の感情が早くめざめていることに気づいて、ピアノを習わせはじめたのだったが、伸子はうちにベビー・オルガンを一台もっているきりだった。そのベビー・オルガンで伸子は教則本を習いはじめた。
やがて、チンタウから来たものだという、中古のドイツ製のピアノが買われた。古風な装飾のついた黒塗りのピアノの左右についている銀色のローソク立てに火をとぼし、伸子は夜おそくまで、少女の心をうち傾けて練習曲をひき、また出まかせをひいた。それらは、光そのものの中に生きるような時の流れだった。伸子はやがてソナチネからソナタを弾くようになった。そのころの川辺みさ子は有名な天才ピアニストであり、音楽学校の教授だった。ベートーヴェンを専門に勉強していた川辺みさ子のリサイタルは、そのころの音楽会と云えば大抵そうであったように上野の音楽学校で開かれた。飾りけない舞台の奥のドアがあいて、そこから裾模様に丸帯をしめた川辺みさ子が出て来ると、聴衆は熱烈に拍手した。