Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
気も狂わしく法律に追いつめられた男女の胃の中から、正確に気ちがいじみた嚥下物をとりのぞいたとしても、人間の不幸はとりのぞかれず、犯罪人をつくりだしつつある社会も変えられない。それにはかまわずレントゲン室はきょうもあしたも科学の正確さに満足して、働きつづけるだろう。機械人間の冷酷さ! そうでないならば、ベルリンの警視総監ツェルギーベルはメーデーに労働者をうち殺したりはしなかっただろう。
その日の見学には、伸子としてひとしお耐えがたいもう一つの場面がつづいた。レントゲン室から出ると木曜会の一行は、食堂へ案内されることになった。昼食の時間だから、この監獄の給食状態を見てくれるように、と云うことだった。伸子は、そこにも陳列棚があって、その日の献立にしたがって配食見本が陳列されているのだろうと思った。さっき廊下で雑役がシチューのようなものを金びしゃくでしゃくっていたときの音を思い出した。ああいう音は、陳列されているシチューからはきこえて来ないのだ。しかも、ここに入れられている人々にとって切ないのは、シチューそのものより、あの食わせられる音だのに。――
伸子は、陰気なきつい眼つきで、人々のうしろから明るい食堂へ歩みこんだ。