Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
伸子は、思わずはっとした。目で、ほかのものの注意をつや子のベッドの方へ向けさせた。
「つや子ちゃん、ごめんね」
伸子は立って行って、白い掛けものに顔をかくして泣いているつや子の、少女らしく汗ばんだ肩を撫でた。
「みんなであんまりいやな話ばかりして、泣けた? 大丈夫よ。ね。いちど話して、これから、気もちよくやるようにするんだから」
つや子は、伸子の頸に片方の腕をまきつけて、伸子の顔を涙でびっしょりになっている自分の顔にすりつけた。そして、しゃくりあげながら、
「そうじゃないの、そうじゃないの」
とささやいた。
「いいの、お兄さまが、みんな話すの、うれしいの。このひと、ほんとにどうしていいかわからなかったんですもの。――保ちゃんみたいに死んでしまえば、お母様は、このひとも可愛がってくださることと思っていたんだもの」
伸子は、だまってきつくつや子の体をだきしめた。伸子の眼にも涙があふれた。
五
うちのものがパリへ来てから、その日はじめて伸子は父の泰造と二人きりで外出した。ひるすこし前にいつものように親たちのとまっているホテル・アンテルナシオナールへ伸子が行くと、めずらしく泰造がまだ室にいて、手袋を買わなければ困ると云っているところだった。