Classici giapponesi con furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Leggi 遠野へ (とおのへ) di 水野 葉舟 (みずのようしゅう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.903 caratteri · 117 schermate
町は薄黒く、寒そうだ。その中を子供たちが群れて遊んでいる。私は親しみのない顔をしながら、その子供たちを見ていた。
ふと、振り返ってS君の方を見ようとすると、目の前の軒のところに白い兎を逆さに下げて、一人の男が皮を剥いでいるのが目にはいった。
目のギョロッとした、頬も腮もまるい、毛深く口の周囲にいっぱい髭の生えている男が、小刀を持って、兎の皮を剥いでいる。黒く燻ぶった軒に白い耳の短かい兎は、片足をくくって下げられていた。見る間にくるくると皮がむけた。男は手もなく腹を割いて臓腑を引き出してみた。
そこを通りかかった男が、立ち止って、
「兎だな。」と言って、両手をうしろに廻わしながら、じっと見ていた。髭の男は振り返ってちょっと笑って、
「今日、踴鹿野で捕った。」と言いながら頭まで剥いでしまった。
私は、その男の油ぎった顔と、厚い唇とを一心に見ていた。その時、
「や。」と、S君に呼ばれて、目を転じたが、町はさらに薄暗くなっていた。
郵便局の前を通りがけに、東京に宛てて、着く日を知らせた電報を打った。そして幅の広い一条町を西にまがって、着いた晩に泊った高善と云ふ宿屋に腰を下ろした。