Classici giapponesi con furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (つげびと) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.955 caratteri · 71 schermate
六
いきなり牛舎のまえに車にのりこんできて、すこぶる権柄に主人はいるかとどなった。
兼吉と五郎は洗いものをしている。花前が例の毅然たる態度で技師先生のまえにでた。技師はむろん主人と見たので、いささかていねいに用むきを談ずる。
花前はときどき頭を動かすだけで一言もものをいわない。技師先生心中非常に激高、なお二言三言、いっそう権柄に命令したけれど、花前のことだから冷然として相手にならない。技師は激しているから花前の花前たるところにいっこう気がつかない。技師はたまりかねたか、ここでは話ができないといって玄関へまわった。あらたまってその無礼を詰責するつもりであったらしい。
玄関では細君がでて、ねんごろに主人の不在なことをいうて、たばこ盆などをだした。技師もここで花前の花前たることを聞き、おおいにきまりわるくなって、むつかしい顔のしまつに究したまま逃げ去った。夜、主人が帰ってから一家くずるるばかり大笑いをやった。兼吉と五郎は、かわりがわり技師と花前との身ぶりをやって人を笑わせた。細君が花前を気味わるがるのも、まったくそのころから消えた。
六
年が暮れて春がき、夏がきてまた秋がきた。