Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

……手紙とは、すなわちこれでございます」

二十日鼠はポケットから、さきほどの手紙をとりだすと、うやうやしく叩頭して警部に渡した。

「姓名は?」

「乾峯人。……高等官七等。元逓信省官吏。只今は恩給で生活いたし、傍ら西洋古家具骨董商を営んでおるのでございまして、住居は、淀橋区角筈二丁目二十七番地。……五十二歳。はい、まったくの独身でございます」

「それから、そちらの婦人……」

「雨……雨田葵……只今、新宿の〈シネラリヤ〉で働いております。……四……四谷区大木戸二ノ一文園アパート。二十三歳。独身でございます」

「よろしい。……つぎ」

「西貝計三(酒鼻が無造作にこたえる)東都新聞の演芸記者。四谷区新宿二丁目五十八。当年三十七歳」

警部は菜葉服のほうへ顎をしゃくった。

「古田子之作。深川区富岡町二一七。〈都タクシー〉で働いております」

「運転手か」

「へえ、運転もいたしますが、いまはおもに古自動車をなおす方をやってるんで。……住居は、そこの二階で寝泊りしております。(頭をかきながら)まだ嬶はございません。へえ、三十三でございます」

警部は手帖をしまいながら、もう自由にひきとってよろしい、といった。