Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
バアの広間の中央は、「踊り場」になっていて通人たちは、そこで非合法的に踊る。この愛すべき秘密は、ある素朴な方法によって保たれていた。
「常連」以外の男がはいってくる。(これは風紀巡査かも知れないのだ)すると、信号の蝉鳴器が低くうなりだす。階下からの合図だ。二階のタンゴは、そこで、片足をあげたままで停まらなくてはならない。……この冒険が〈シネラリヤ〉の魅力になっているのであった。
その日の夜十時頃、久我千秋は〈シネラリヤ〉の扉をおす。入口の勘定台には柔和な顔をした老人がいて、久我を見ると丁重に頭をさげた。久我は気おくれがして、ちょっと階段の下でためらっていたが、やがて、決心したように狭い階段をのぼって行った。
久我はホールの端口に立って、しずかにその内部を見まわした。やや広い四角な部屋の壁にそって、チュウブ製の小卓が十五六置かれ、三十人ほどの男と女が、飲物を前にして、そこにかけていた。久我がはいってゆくと、ホールのひとびとは、検べるような眼つきで、一斉に久我のほうへふりかえった。ひとびとの見たものは、すこし贅沢すぎる服をスマートに着こなした、二十五六の、ちょっと例のないような美しい青年であった。