Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
うっかり口をすべらしたばっかりに、これがいま、あいつらの弱点になっている。……現にその点で、さかんに共同製作をやってるじゃないか。……片っぽうで、こんな声じゃなかった、といえば、片っぽうじゃ、こんな正直な方はありません、なんて、ぬかす。……おい、那須。……なにしろ、あの女は馬鹿じゃないんだ。しっかりしろよ。よ、名探偵」
「さようそこがトウシローと名探偵のちがいさ。(那須が笑いながら、やりかえす)……葵はね、西貝さん。その、九時って時間には、ちゃンと〈シネラリヤ〉で働いていたんですぜ。しかもひと晩じゅう、葵のそばにへばりついていたのは……、(と、いいながら、となりのモダン・ボーイ風の記者を指して、)なにを隠そう、こいつなんだから話はたしかだ。……こいつはね、一名、ダニ忠といって、女のそばにへばりついたら、雷が鳴ったって離れやしないんだから……それに、あの晩はこいつが……」
べつの一人が、あとをひきとって言った。
「アパートまでお送り申しの、ていよく戸口で断わられの、赤電を追っかけてスッテンコロリンの……やだナ」
みなが、どっと笑う、西貝がいった。
「ひとごろしは午前三時だ」