Classici giapponesi con furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate
七つ八つの金魚は静まり返って、藻や太藺が風の狼藉の跡に踏みしだかれていた。耳に立つ音としては水の雫の滴る音がするばかりで、他に何の異状もないように思われた。魯鈍無情の鴉の声が、道路傍の住家の屋根の上に明け方の薄霧を綻ばして過ぎた。
大溝の水は増したが、溢れるほどでもなく、ふだんのせせらぎはなみなみと充ちた水勢に大まかな流れとなって、かえって間が抜けていた。
「これなら、大したことはない」
と復一は呟きながら念のためプールの方へ赤土路をよろめく跣足の踵に寝まきの裾を貼り付かせ、少しだらだらと踏み下ろして行った。
プールが目に入ると、復一はひやりとして、心臓は電撃を受けたような衝動を感じた。
小径の途中の土の層から大溝の浸み水が洩れ出て、音もなく平に、プールの葭簾を撫で落し、金網を大口にぱくりと開けてしまっている。プールに流れ入った水勢は底に当って、そこから弾き上り、四方へ流れ落ちて、プールの縁から天然の湧き井の清水のように溢れ落ちていた。
復一が覗くと、底の小石と千切られた藻の根だけ鮮かに、金魚は影も形も見えなかった。
復一はかっとなって、端の綴じが僅か残っている金網を怒りの足で蹴り放った。