Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate
その拍子に跣足の片足を赤土に踏み滑らし、横倒しになると、坂になっている小径を滝のように流れている水勢が、骨と皮ばかりになっている復一を軽々と流し、崖下の古池の畔まで落して来た。復一はようやくそこの腐葉土のぬかるみで、危く踏み止まった。
年来理想の新種を得るのにまだまだ幾多の交媒と工夫を重ねなければならない前途暗澹たる状態であるのに、今またプールの親金魚をこの水で失くすとすれば、十四年の苦心は水の泡になって、元も子も失くしてしまう。復一は精も根も一度に尽き果て、洞窟のように黒く深まる古池の傍にへたへたと身を崩折らせ、しばらく意識を喪失していた。
しばらくして復一が意識を恢復して来ると、天地は薔薇色に明け放たれていて、谷窪の万象は生々の気を盆地一ぱいに薫らしている。輝く蒼空をいま漉き出すように頭上の薄膜の雲は見る見る剥れつつあった。
何という新鮮で濃情な草樹の息づかいであろう。緑も樺も橙も黄も、その葉の茂みはおのおのその膨らみの中に強い胸を一つずつ蔵していて、溢れる生命に喘いでいるように見える。しどろもどろの叢は雫の露をぶるぶる振り払いつつ張って来た乳房のような俵形にこんもり形を盛り直している。