Classici giapponesi con furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate
それは彼の出来損じの名魚たちを、売ることも嫌い、逃しもならぬままに、十余年間捨て飼いに飼っておいた古池で、宗十郎夫婦の情で、ときどき餌を与えられていたのであったが、夫婦の死後は誰も顧るものもなく憐れな魚達は長く池の藻草や青みどろで生き続けていたのであった。この池の出来損いの異様な金魚を見ることは、失敗の痕を再び見るようなので、復一はほとんどこの古池に近寄らなかった。ときどきは鬱々として生命を封付けられる恨みがましい生ものの気配いが、この半分古菰を冠った池の方に立ち燻るように感じたこともあるが、復一はそれを自分の神経衰弱から来る妄念のせいにしていた。
いま、暴風のために古菰がはぎ去られ差込む朝陽で、彼はまざまざとほとんど幾年ぶりかのその古池の面を見た。その途端、彼の心に何かの感動が起ろうとする前に、彼は池の面にきっと眼を据え、強い息を肺いっぱいに吸い込んだ。……見よ池は青みどろで濃い水の色。そのまん中に撩乱として白紗よりもより膜性の、幾十筋の皺がなよなよと縺れつ縺れつゆらめき出た。ゆらめき離れてはまた開く。大きさは両手の拇指と人差指で大幅に一囲みして形容する白牡丹ほどもあろうか。