Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

彼女は無言で指を延ばした。そうしてじっとダイヤに見入った。その燦然たる鯖色の光輝を、味わっているような眼付きであった。二本の指で支えられ、ピンと上向いた煙草からは、紫の煙りが上っていた。一筋ダイヤへ搦まった。光りと煙り! 微妙な調和! 何と貴族的の趣味ではないか! 彫刻のような彼女の顔! 今にも唇が綻びそうであった。モナリザの笑い? そうではない! 娼婦マリヤ・マグダレナの笑い!

私は瞬間に退治られた。

数日経って松坂屋から、一揃いの衣裳が届けられた。それは高価な衣裳であった。帯! 金具! 高価であった。誂えたはずのない衣裳であった。私の知らない衣裳であった。

そこで私は懇願した。

「話しておくれ、どうしたのだ?」

ただ彼女は微笑した。例のマリヤの微笑をもって。

「おい!」と私は威猛高になった。

「処分したな、贓物を!」

「貴郎」と彼女は水のように云った。

「贓物ですって? 下等な言葉ね」

「売ったのだろう! 白金を!」

「貴郎」と彼女は繰り返した。

「約束でしたわね、訊かないと云う」

彼女は私を下目に見た。彼女は貴婦人そのものであった。

大詰の前の一齣が来た。