Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate
「朝起きると、縁側の戸が一枚外れて、娘は床の中で死んでおりました。死骸の側には物置から持出した鉈が投り出してあって、畳の上は泥だらけ――」
主人の六兵衛はそう言って、言葉を呑みます。喉仏をヒクヒクと鳴らして、深酷な嗚咽がこみ上げて来たのでした。
「娘を怨んでいる者でもあったのかい」
「あったかも知れません。親の口から申上げるのも変ですが、人並優れたきりょうに生れ付いた娘ですから、――若い娘は、誰の眼にも美しく見せようと心掛け、誰にも一と通りの愛嬌は振り撒きます。それが命取りの種になろうとは思ってもみなかったでしょう」
「…………」
「銭形の親分さん、この敵を討って下さい。私にはたった一人の娘、あれに死なれては、これから先一日も生きて行く勢もございません」
六兵衛は声もなく泣くのです。六十そこそこでしょう。強かすぎるほど強かな感じのする商人ですが、一人娘を喪った悲嘆は、性も他愛もなく身に沁みるのでしょう。
「お前さんは、お狩場の四郎という悪党のことを知ってるだろうな」
「ヘエ――」
平次の唐突な問いはかなり六兵衛をおどろかした様子です。
「そのお狩場の四郎が、どうしているか聴いたことがあるかい」