Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
「何んの」
八五郎は大骨折で何うにかこうにか屋根の上へ這い上がりました。
「今頃屋根の上へ出たって、何んにも見えやしまい」
平次は下から声を掛けます。
「ヘエ、何処を見ても屋根だらけで、どの方角へ逃げやがったでしょう」
「間抜けだなア、季節外れの猫の恋じゃあるめえし、屋根なんか渡って歩くと、大家に文句をいわれるぞ」
「でも癪にさわるじゃありませんか」
「相手はその辺にマゴマゴしているものか、降りて来い」
「ヘエ」
八五郎は諦めた様子で、もとの引窓からへっついの上へ降りて来ました。
「何時までも屋根の上にいる筈はない。お前達が家の中で大騒動している間に相手は路地の外へ屋根から飛び降り何処かへ飛んでしまったに違いないよ」
「じゃ何処へ逃げたんでしょう、親分」
「お静という荷物があるんだから、遠くへは行くまい」
平次は長火鉢の前へ来ると、座布団の上へ腰を据えていました。今しがた行方知れずになった女房のお静が、平次の帰りを待って、熱い茶でも入れようと思ったのでしょうか、鉄瓶の湯はチンチン沸って、銅壺も徳利を突っ込めるように、丁度加減が宜いようです。
「――」
平次は煙草入を出して、思案煙草を二、三服立てッ続けに吸いつけました。