Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
平次は提灯を受取ると、真ッ先に家の中へ飛び込みます。
丁度その時、裏口をどうしてこじ開けたか八五郎と湯島の吉も勝手口から入って来ました。
「親分」
「だれもいないか、八」
「猫の子一匹いませんよ」
「次の間だよ」
平次と八五郎は唐紙を押し倒すように飛び込みました。ツイ二日前の晩、五郎八が女房のお六を相手に、晩酌をやっていた六畳です。
「あッ」
八五郎が立ち竦んだのも無理のないことでした。其処は血の海、長火鉢の前に明石五郎八が、ぼろをつくねたように、血に染んで死んでいたのです。
「一と足遅れた」
平次は口惜しそうでした。引起すとまだ体温が残っていて、右頸筋の傷から、生々しい血が噴き出します。
「いつもの手口ですね、親分」
「――」
平次は死骸から離れて、提灯を高々とかかげたまま、部屋全体を見渡しております。こうして先ず最初の印象を正確に把握し、部屋の中の物の配置や、その位置の破綻などを見窮めるのでしょう。
「酒を飲んでいるところをやられたんですね、親分」
「徳利が引っくり返って、猪口を投り出してある、――それに間違いもあるまい。が、女物の半纒を羽織って右手だけ袖を通しているじゃないか」